[読書感想]タバコを知ってタバコをやめる煙草の薀蓄 & 日本文学作品、日本文学者が愛した煙草について

”タバコを知ってタバコをやめる”とは書いてあるが、体裁を整えるためだけのもの?であり、本書は煙草に関する総合的な知識・雑学を得るための書。

総合的な流れとしては

そもそも煙草とは?煙草の歴史
→煙草に関する蘊蓄(煙草王デューク、日本の煙草王、ZIPPPの歴史など)
→銘柄別知識(セブンスター、ホープ、ハイライトなど)
→喫煙方法の知識(シガレット、シガー、パイプたばこ、ライターの歴史など)
→煙草の科学的側面(ニコチンやタールがどのように作用するかなど。メイン部分かと思いきや、一番文量が少ないのでは笑)
→煙草を愛した文豪や政治家の話

となっている。平成17年出版ということで、少し情報が古くなっているところもある(久々にマイルドセブンという字面をみた。)が、タバコを吸っている・好きな人は興味深く、面白く読めると思う。

以下気に入った文章を少し抜粋

・日本人で初めてタバコを吸ったのは徳川家康かもしれない。
・国レベルでのタバコの弾圧で最も古いのはジェームズ一世による禁煙策(1604年)
・セブンスターのパッケージに書かれている星の総数は、約3190個と言われている。
・ラッキーストライクのデザインは当初違った。真ん中の赤は同じだが、外側は緑色、円の縁は金色だった。現在のデザインに変更されたのは、第二次世界大戦中の1942年。緑塗装に含まれる「チタン」と金色塗装の「青銅」が軍需物資として材料が枯渇してしまったから。
・葉巻はワインにたとえられる。
・日本でライターの原形が生まれたのは1772年。平賀源内によって。
・1920年頃には、現在主流のワンハンド型(片手で着火できるもの)がドイツで考案される。第一次世界大戦後の状況下で生まれたライター。戦争によって片腕をなくした人が、片手でも日をつけられるようにと誕生したライター。

などなど。
中でも煙草を愛した文学者の話が面白い。
青空文庫で煙草に関する文学を読みふけってしまった。

太宰治
ゴールデンバットを愛していた。口付たばこを憎んでいた(笑

いまの人間は、どん底に落ちても、丸裸になっても、煙草を吸わなければならぬようにできているのだろうね。ひとごとじゃない。どうも、僕にもそんな気持ちが思い当たらぬこともない

美男子と煙草

なぜ、敷島なぞを吸うのだろう。両切の煙草でないと、なんだか、不潔な感じがする。煙草は、両切に限る。敷島なぞを吸っていると、そのひとの人格までが、疑わしくなるのだ。

女生徒

敷島とは”かつて大蔵省専売局が製造・販売していた日本の口付紙巻きたばこの銘柄の一つ。”
※”口付(くちつき)巻煙草。ストロー状の巻紙(口紙という)の吸い口が付いたもの。口紙をつぶして吸う。現在日本では製造されていない。”

「甲府へ行って来て、二、三日、流石に私はぼんやりして、仕事する気も起こらず、机のまへに座つて、とりとめのない楽書をしながら、バットを七箱も八箱も吸ひ、また寝転んで…」

富嶽百景

芥川龍之介
生涯ゴールデンバットを愛した。

それによると、煙草は、悪魔がどこからか持つて来たのださうである。
…誘惑に勝つたと思ふ時にも、人間は存外、負けてゐる事がありはしないだらうか。

煙草と悪魔

北原白秋
日本の詩人、童謡作家、歌人。そうとうの愛煙家。一日に12箱吸ったそう。「僕の詩はタバコの煙から生まれるんだ」と友人に言っていたそうだ。

「煙草のめのめ 空まで煙(けぶ)せ どうせ この世は 癪のたね 煙よ 煙よ ただ煙 一切合切 みな煙」

「カルメン」より


※良い歌。

中原中也
ゴールデンバットを好んでいた。

七銭でバットを買つて、
一銭でマッチを買つて、
――ウレシイネ、
僕は次の峠を越えるまでに、
バットは一と箱で足りると思つた。

(七銭でバットを買つて)

タバコとマントの恋
わが喫煙

夏目漱石

莨たばこは吸って居る。一事止した事もあったが、莨を吸わぬ事が別に自慢にもならぬと思ったから、又吸い出した。余り吸って舌が荒れたり胃が悪くなったりすれば一寸ちょっと止すが、癒なおれば又吸う。常に家に居て吸って居るのは朝日である。値段は幾らだか知らぬが、安いのであろうが、妻がこれ許ばかり買って置くから、これを飲んで居る。外に出て買う時に限って敷島しきしまを吸うのは、十銭銀貨一つ投ほうり出せば、釣銭つりせんが要いらずに便利だからである。朝日よりも美味うまいか如何どうか、私には解らぬ。

文士の生活

※朝日と敷島を吸ったようだ。夏目漱石の作品内にも朝日と敷島はよく出てくる。

タバコを知ってタバコをやめる 煙草の薀蓄