ファイナンス 将来価値・現在価値・正味現在価値(NPV)。投資先の比較方法、意思決定プロセスなどについて

将来価値・現在価値

→確実な金融商品(国債など)で運用すれば、利息が発生する。

→将来の価値を現在の価値に変換するため、割り引くという考え方。また、現在の価値を将来の価値に変換する考え方。

現在価値…PVと表す(present value)
将来価値…FVと表す(future value)

利息
単利と複利の二種類
単利とは…元本に対してのみ利息がつく
複利とは…元本のみならず、過去の利息にも利息がつく→「利息が利息を生む」

将来価値の算出方法
X円を年利r%で運用すれば、n年後の将来価値は、X*(1+r%)^n

金利が高ければ高いほど、運用期間が長ければ長いほど、将来価値は大きくなる

現在価値について

例)五年後に確実に100万円もらえる引き換え券があったとする。今いくらで購入するか。

同じ100万円でも価値が異なる

・現在の100万円=「100万円+利息」の価値がある

→将来の100万円より、現在の100万円のほうが価値が高い

5年物国債の利回りが0.05%とする(確実な金融商品)。100万円を国債で運用する。

→上述した”将来価値の算出方法”を用いて計算

100万円*(1+0.005)^5≒102.5251万円

※現在、個人向け国債の最低金利が年率0.05%(税引前)。しょっぱいなぁ…。

五年後の102.5251万円を年率0.05%で割り引く(ディスカウント)と現在の100万円になる

→現在価値の考え方

では、例に戻って、五年後に確実に100万円もらえる券。100万円を年率0.05%で割り引く(ディスカウントする)。

100万円/(1.005)^5=97.5万円

この”97.5万円”が”5年後の100万円”の”現在価値”という

現在価値

n年後に受け取るX円の現在価値は、割引率r%では、X/(1+r%)^n

割引率を英語でディスカウントレート(discount rate)と呼ぶ

(年率0.05%・五年)
97.5万円の将来価値は100万円⇔100万円の現在価値は97.5万円

現在価値、将来価値は表裏一体となる。

現在価値の考え方がわかると、世の中の金融商品の価格を計算できる。

年金型投資商品の現在価値の算出方法

1年めからt年目まで毎年、一定額Cが支払われる年金型投資商品の現在価値(rは割引率)

PV=C*(1/r-1)-(1/(r(1+r)^t))

例)
5年間に渡って、年末に100万円ずつもらえる年金型投資商品の現在価値は、割引率を3%とすると

100*(1/0.03)-(1/(0.03(1.03)^5))≒458.0万円

上述した考え方から、より普遍的な公式、考え方が導ける

ある資産の価格は、その資産が将来生み出すキャッシュフローの現在価値の合計に等しい

割引率は、そのキャッシュフローのリスクと期間に照らしてみて妥当な金利を選択する。

企業は投資なくては、企業価値を高められない。現在の投資が企業の将来を左右する。

投資判断の決定プロセス

1.プロジェクトのキャッシュローの予測

2.投資判断指標の計算

3.計算結果と採択基準を比較して、基準を満たせば、プロジェクト実行

→キャッシュフローの予測が一番難しい

正味現在価値(Net Present Value:NPV)とは

NPVは、「将来のキャッシュフローの現在価値の合計額から当初の投資金額を差し引いたネット額」

NPV=将来発生するキャッシュフローの現在価値の合計額(PV:現在価値)- 初期投資額

NPVは投資することによって、どれだけのお金が増加するかを表すもの

例)現在価値が458.0万円の投資商品を420万円で投資(購入)する。

NPV=458.0万円-420万円=38万円

NPV>0 → 企業価値を高める
NPV<0 → 投資すべきでない

割引率が高くなればなるほど、NPVは小さくなる。割引率はリスクの度合いが高くなればなるほど、高く設定する。

NPVを求める二通りの計算

→それぞれの年度のキャッシュフローの現在価値の合計を計算。

→NPV関数。エクセルで計算できる。

※注意、NPV関数はNPVを計算するための関数ではなく、PV(現在価値)を計算するためのもの。なので、初期投資額の存在(初期投資額をNPVから引くこと)を忘れない。

NPVは”投資すべきか否か”に利用できるだけではなく、複数の中からどれが一番良い投資かの優先順位をつけることも出来る。

→複数の投資先があり、かつ、そのうち限られたものにしか投資できない場合。それぞれのNPVを算出することで金融商品を比較することができる。

NPV(正味現在価値)以外の指標

資金回収期間ルールや内部収益率などが存在する。NPVより簡単だが、使い方によっては間違った結論に至る。問題点をしっかり把握して、使い分けが重要。

資金回収期間ルール
→予測されたキャシュフローの合計が初期投資額と同額になるまでの期間を指す。初期投資を回収するまでの期間。

資金回収期間=投資額/年間キャッシュインフロー
※キャッシュインフローは簡単に言えば収入のこと。キャッシュアウトフローは支出

問題点
・基準年数のあとのキャッシュフローを無視していること
・資金回収期間中のキャッシュフローの時間価値を考慮していないこと
・基準年数をどう設定するかは、企業の判断にかかっていること

ぶっちゃけ、簡単だけど、そんなに使わない方が良い。

収益性インデックス(Profitability Index:PI)

収益性インデックス(PI) = キャッシュインフローの現在価値 / キャッシュアウトフローの現在価値

このPIが1を上回れば、投資を実行。下回れば却下

内部収益率(Internal Rate of Return:IRR)

内部収益率とは、正味現在価値(NPV)がゼロとなる割引率のこと

※内部収益率を採用している企業が多い。割引率を設定しなくて済むから。
※プロジェクトに必要最低限なレート(割引率)をハードルレートと呼ぶ。

内部収益率の判断基準

→”内部収益率”を”最低限必要なリターンである割引率”と比較する。内部収益率のほうが大きいプロジェクトに投資し、割引率のほうが大きいプロジェクトは却下

内部収益率>割引率→投資すべき
内部収益率<割引率→投資すべきでない

内部収益率を使って複数案件から選択する場合の注意点

→比較する当該投資案件が、他の投資案件よりもリターンが高いこと。また、双方のプロジェクトのリスクが同程度。

資本支出予算(capital budgeting)

投資意思決定。企業がどのプロジェクトに投資すべきかを決定するプロセスのこと

この決定プロセスに使わられる投資判断指標のうち、NPVとIRRの比較。優劣や状況判断など。

→NPVとIRRで結果が異なる場合が発生する
→そのときは、NPVルールに基づいて意思決定を行う。

なぜなら、企業のゴールはリターン(収益率)を高めることではなくて、企業価値を高めることだから。

したがって、企業は、内部収益率が高いプロジェクトを選択するのではなく、NPVの絶対額が大きいプロジェクトを選択する。

内部収益率は単なるリターン(収益率)。リターンが高いよりも、企業価値の絶対額の大きいほうが勝つ。内部収益率は、プロジェクトの規模の違いを反映しない。

内部収益率が最も高いプロジェクトとは、相対的に初期投資が少なくてすみ、かつ、短期間のプロジェクトになる。

しかし、そのようなプロジェクトが、企業価値を必ずしも高めるものではない。

プロジェクトやキャッシュフローによっては、内部収益率が複数存在する場合や、まったく解が存在しない場合がある。

また、IRRルールでは、割引率の変化に対応できない。短期金利と長期金利が異なる場合や、時間の経過によってリスクの特性が変化する場合がある。

IRR(内部収益率)の3つの弱点
・プロジェクトの規模(金額ベース)を反映しない
・キャッシュフローによっては内部収益率が複数存在したり、まったく解がない場合がある
・プロジェクト期間中の割引率の変化に対応できない

内部収益率よりもNPV(正味現在価値)を使う

資本制約の観点から見る投資判断基準

資本に制約がある場合は、プロジェクトの効率性を考えないといけない。ベストの選択が間違いになる可能性がある。

→プロジェクトの効率性とは、投資額1円あたりのNPVを意味する

プロジェクトの効率性=NPV/投資額≒収益性インデックス(PI)

資本制約がある場合(まぁ、資本制約がない場合なんてない。)は、収益性インデックスが大きい順に予算枠に達するまでプロジェクトを選択する。

プロジェクトの期間が違う場合

→異なる期間に渡る相互排他的なプロジェクトを比較する場合、NPVルールは、「長期間に渡るプロジェクトが有利となるようなバイアス」がかかる。

したがって、期間が違うプロジェクトを比較する場合は、期間を合わせる必要がある。

期間が異なるプロジェクトを比較する場合、年金等価額(equivalent aanuities)を比較する方法が一般的。

年金等価額とは、一年あたりのNPV(簡単に言うと)

年金等価額=NPV/PV関数(r,N,-1)≒一年あたりのNPV
※割引率r,プロジェクト年数N

キャシュフローの予測の注意点

※キャッシュフロー予測が一番難しい。手法は覚えられても、ビジネスの判断と予測が必要。

埋没コスト
すでに支払ってしまったコストのこと。

→プロジェクトを実施するか、しないかを判断するのに、すでに流失したコストはまったく関係ない。

これから先の投資判断には、今までかけた・失った金額を考慮すべきでない。今の時点でコントロールできないキャッシュフローは無視する。

投資判断するためには、プロジェクトを実施した場合(With)のキャッシュフローと、実施しない場合(Without)のキャッシュフローを比較するべき。

これをWith-Withoutの法則と呼ぶ。

プロジェクトのキャッシュフロー(CF)=実施時のCF-未実施時のCF

投資をした場合(With)と現状維持の場合(Without)のそれぞれのキャッシュフローの差額で投資判断を行う。

減価償却

何年か使用できる設備を購入した際に、その設備が使える年数(耐用年数)に分けて毎期、経費計上する方法。

→期間が異なるプロジェクトを比較する場合、年金等価額(equivalent annuities)を比較する方法が一般的。

3年間使える設備を300万円で購入した場合、300万円全額を今年の費用にするのではなく、3年間に渡って100万円ずつ費用計上する。

実際には、現金300万円は1年目に出ていくことは変わらないが、会計上、設備の費用計上を平準化することによって、「損益のぶれを無くす」というのが目的

→実際のキャッシュフローと会計上の利益とは差異がある。
減価償却には節税効果がある。

ワーキングキャピタル

企業活動において、原材料の仕入れ代金の支払いが、キャッシュの入金よりも先行することになる。

このキャシュの回収と支払いのズレを埋め合わせるために、一定のキャッシュが必要となる。

これをワーキングキャピタル(Working Capital:WC)という。運転資本。

定義
ワーキングキャピタル=流動資産 -(短期借入金を除いた)流動負債

このワーキングキャピタルに使われるものが、有利子負債や株主資本。

実務上の計算方法
ワーキングキャピタル=[売上債権(売掛金・受取手形)+在庫] – [支払債務(買掛金・支払手形)]

売上債権や在庫が増加すればするほど、それを支えるワーキングキャピタル、いってみれば借入金を増やさざるを得ない。

この借入金は何のの資産を支えているかという視点も大事。

資金調達コスト

プロジェクト実行に必要な資金を調達するコストはキャッシュフロー予測に入れる必要はない。

投資判断を行う際には、資金調達に関わるコストはキャッシュフロー上加味するのではなく、割引率で考慮する。

↓用語や参考リンク

※機会コストやシナジー効果→機会コストシナジー効果

相互に排他的なプロジェクト(mutually exclusive projects)とは、一つを実行すると、その他が実行できなくなってしまうプロジェクト。例)土地を活用する場合など。駐車場にするか、建物を建てるか、ほかのことをするか。

キャッシュフローとは…お金の流れ(流入・流出、収入・支出)のこと。獲得した現金(キャッシュイン)から、外部に支払った現金(キャシュアウト)を差し引いた残りのこと。よりメタ的になると、会社の経営状態を、資金の流れ・増減を通してチェックすることキャッシュ・フロー計算書

「固定5年」商品概要:財務省

個人向け国債についてのよくある質問

マイナス金利とは
→簡単にまとめると、金融機関が日銀に資金を預けてたら、金が減るよってこと。なので、金融機関は積極的に投資や貸付するよ。

超人気「個人向け国債」が優れている3つの理由

なぜマイナス金利でも国債を買うのか?

ワーキング・キャピタル
事業を売却すべきか?(ある大手商社の事例)

NPV関数で定期的なキャッシュフローから正味現在価値を求める