ドイツボードゲームを代表するデザイナーの一人、ライナー・クニツィアの作品。競りゲー3部作(メディチ/モダンアート/ラー)と呼ばれる傑作のうちの一つ。
モダンアートもプレイ済み。後々レビュー記事を書く。ラーは未プレイ。ラーも欲しいなぁ。
メディチ(ボードゲーム)の写真・画像
簡単なルール説明
プレイヤーは中世ヨーロッパの商人となり、様々な商品をなるべく安く買って船に積み込み、多くのお金を獲得することを目指す。
全部で3ターン行う。1ターンで船に載せられる商品カードの数は5枚。
商品は
手番プレイヤーは山札の上からカードを引いて、競りに出す商品を決定する。このとき、1枚だけではなく3枚まで表にして出すことができる。複数枚出したときは、必ず全てセットで競りを行う。
商品を競りにかけ、一番高い値を付けた人が商品を獲得し、船に詰め込むことができる。
1人のプレイヤーを除いて全員が5枚のカードを購入したら、残る一人は山札の上からランダムにカードを引いて船のボードをいっぱいにする。そうしたら1日(1ラウンド)が終了。
得点計算を行う。1日の終わりにプレイヤーは購入したカードからお金を獲得する。獲得する項目は2種類ある。
・船の価値
・商品の独占
船の価値
カードの数字を合計し、一番数字が大きいプレイヤーが一番大きな報酬を獲得する。もっとも低いプレイヤーは報酬を獲得できない

数字の合計を出す。2+0+1+5+3=11。他プレイヤーに比べて一番大きい数字ならば、20金ゲット
商品の独占
数字は関係なく、5種類の商品のそれぞれの枚数をカウントする。その枚数分「市場ピラミッド」にあるコマを上に動かす。
一番上にいるプレイヤーに一番多くの報酬が発生する。3位以下は報酬を獲得できない。

香辛料カードが5枚あった場合、香辛料の市場ピラミッドを5つ動かす。どのプレイヤーよりも香辛料を獲得していたら、10金ゲット。”5”のピラミッドに止まっているので、”+5”の15金をゲットできる。
この手順を全3回行い、一番多くのお金を獲得したプレイヤーが勝利。
プレイ感想・評価
とにかくゲームバランスが絶妙。
船の価値を上昇させる数字の大きいカードを集めて勝利を狙うか、同じ商品を集めて独占して勝利を狙うか、それともなるべく支払いを少なくして勝利を狙うか。
勝利へのいろいろなパターンが存在する。
「こうすれば勝てる」という鉄板戦略が存在しない。
また、競りはセットで行うため、最初に3,4つ商品を船に詰め込んでいたら、3,2枚の商品の競りに参加することが出来なくなる。(船に載せられる上限カード枚数が5枚)

3枚までグループ・セットにして競りにかけることができる

すでに船に4つ商品を積んでいたら、2枚や3枚の競りには参加できなくなってしまう
最初に大金を払って購入した商品と同程度以上に良い商品が、だれも競りに参加できずに安値で落札されることもあり得る。
競りの値付けなど、ゲームの盤面を読む実力が出るゲームでありつつ、商品の出るランダム性によって、ちょうどよい運と実力のゲームバランスになっている。
「買おうか買うまいか」、「この後もっと良い商品が出るのでは?」とジレンマで悩むことが楽しい。
一回ゲームルールを把握すると、ルールもシンプル。初めての人でもわかりやすい。
戦略やコツ
1種類の商品カードの数字は「0.1.2.3.4.5.5」の7枚。
よって1枚あたりの期待値は約2.85。5枚合計で14.28。(価値10の黄金カード1枚を除く)
船の価値での得点を狙う場合、14,15点あたりが一つの目安となる。
運要素が結構あるので、「すべて思い通りにゲーム運びをしよう」としない。「ややお得感があるかなぁ…」という小さな積み重ねが大事。
絶対的な数字の大きさというよりも、「他プレイヤーと比べて数字が大きいか小さいか」という相対的な数を意識する。大金を払って大きな数字を獲得しても、他プレイヤーがそこまで数字が大きくなかったら払い損。
モダンアートとメディチの違いについて
同じく競りゲーのモダンアートよりルールが簡単、ゲーム展開がわかりやすい…のではないか?。
メディチにおいて、強いカードは(どの盤面でも比較的)共通して強い。
モダンアートの場合は、「どの状況でも強いカード」が存在しない。そのゲーム内においての需要と供給で強いカード弱いカードが別れてくる。手順が1つ進むだけでさっきは強かったカードが必要ないカードになったりする、とても恐ろしいゲーム。(そこが面白くもある)
ボードゲームに慣れている人同士であったら、モダンアートのほうがより駆け引きを楽しめるゲームかも知れない。(もちろんメディチも駆け引きが楽しいゲーム。)
プレイ時間もどちらもそこまで変わらず、1時間位か。
どちらも特徴が異なったゲームなので、優越をつけるのが難しい。どちらも面白い。
・初めての人でもゲーム展開がわかりやすい。
のがメディチ
・ゲーム展開が少し複雑だが、より駆け引き/競りの感じを楽しみたい。
のならばモダンアート
という感じかな。
→メディチ
※amazonにて3,300円
※amazonのレビューにあるとおり、得点計算のコンポーネントの作りが少しわかりづらい。海外版を見たことはないが、改悪と言えるのだろう。…しかし、ゲーム性は文句なく面白い。